株式会社ランテック計画事務所

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矢倉緑地

(1999)

所在地: 大阪市西淀川区
発注者: 環境事業団 大阪市建設局
規模等: 大気汚染対策緑地 2.4ha

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大阪湾に突出する矢倉緑地
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親水空間である潮だまり
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なだらかな丘からの眺望

本緑地は、大阪市の北西部を流れる淀川と神崎川の合流する河口部にあり、大阪湾に突出た半島の先端に位置する。ここは 市内で唯一、コンクリート護岸を持たず、貴重な自然景観を有する海辺であり、阪神工業地帯の真中で「公害の街」と称される地域の中に立地している。

計画は、二十年程前から当地の公園化を訴えてきた市民の希望と期待の中から生まれ、目標として、大気浄化や都市気候の緩和・防災を図り、住民の健康を守る緑地の創造が掲げられた。設計においては、大阪湾の貴重な生物生息環境を守り、人々が海という自然環境に親しめる場を創るために、様々な工夫を凝らした。 まず、水辺の鳥や湿性植物が観察できる葦原を有した神崎川沿いの干潟を保全し、 野鳥観察のためのハイドを設けた。大阪湾・淀川に面した岸辺は、防潮機能を有した生物生息環境にやさしい自然石荒磯護岸とし、護岸内側には潮の干満により水位の変化する潮だまりを設けた。潮だまりは、水質浄化と生物相の多様性を生み出すとともに、親水性の向上にも役立つ装置となった。海辺から内陸部に向かっては、 なだらかに地形を高くし、大阪湾をパノラマに望める立地性を活かした、眺望景観を楽しめる園路と広場を配置した。植栽設計では、矢倉海岸の自然環境に配慮した機能と景観を創出した。具体的には、野鳥の誘致・保護と防潮・防砂・大気浄化機能を有する樹種や植栽密度の検討を重ねるとともに、クロマツやハマエンドウ、ハマヒルガオなど海岸植生を意識したエリアを設け、海辺風景の創出を目指した。
今日では、外海と連続した「魚の道」のある潮だまりや荒磯護岸に多種多様な海の生き物が確認され、緑地周辺には水鳥の姿が観測でき、海辺の自然とふれ合うことのできる人気スポットとして利用されている。

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